西澤保彦「狂う」

狂う

狂う

「彼女はもういない」の改題です。
個人的な感想としてはめちゃくちゃ面白かったですw 内容が内容だけに多くの人にお薦めはできませんが、全ての非モテは読むべきだと思います。
己の怒りに何の論理性もないことは、鳴沢も自覚していた。にもかかわらず、鳴沢は怒りの対象をどんどん一般化し、抑えようもない怒りは女性一般を対象としていった。ろくな能力もないのに、可愛い顔や甘える仕草という換金性の高い担保で、男から金を奪う女が許せなかった。鳴沢は壊れつつあった。そして鳴沢は、明確な目的を持ちつつ、レイプに殺人、さらにその様子をDVDに収めるという犯行を繰り返すことになった。
倒述ものなので、犯人の名前は最初からわかっています。だからネタバレじゃないです。
西澤保彦、もともと真っ黒な女性観と女性蔑視には定評のある人だったんですが、ここまで突き詰めるとすごいですね。なんというか、自然ですw ここを受け入れられるかが、この作品を気に入るかどうかの最初の関門かな。
そして問題のラスト。確かに驚愕したし、よく見れば伏線はあったけど・・・。マジかよ、の一言に尽きる、バカミス紙一重の作品だと思いました。ちなみにこれはほめ言葉ですよ。楽しい作品だった。
全ての非モテは読むべきだと思います。