友桐夏「春待ちの姫君たち」

女子高の中等部に通う親友同士な赤音と春来の仲は、二人の間に入ろうとしたクラスの中心な舞を拒んだことで引き裂かれてしまう。クラス全員に拒絶される赤音の支えになったのは決して裏切らない親友。しかし、それすらも・・・
こっちの予想の斜め上どころか完全に違う次元に到達するかのような、面白いという言葉にある意味という枕詞がつく前作と違って、まっとうに普通に面白い話でした。衝撃の絶対値は前作のほうが上だけど。
友桐夏、甘いだけの存在じゃなくて、弱さと芯の強さ、そしてある種の黒さを内包した”少女”を書ける希少な作家さんですね。上手く売ってけば桜庭一樹みたいなポジションを獲得できそう。
誰もが楽しめるとは言わないけど、ちょっとでも興味を持ったなら注目してみる価値はある作品だと思います。