加納朋子「七人の敵がいる」

七人の敵がいる (集英社文庫)

七人の敵がいる (集英社文庫)

自身の才覚と努力でもって育児と仕事を両立してきたワーキングマザーの陽子は、長男の小学校入学を機に危機に瀕していた。PTAから始まり、保護者会、町内会、スポーツ少年団・・・あらゆる組織と専業主婦を前提とした常識が陽子に襲い掛かる。表面的には協力的ながら陽子に仕事を辞めることを願う義母、育児にはあまり関わろうとしない夫、ママ友で固まりワーキングマザーを敵視する同級生の母親。陽子の周りは敵だらけだった。
ミステリだと思ったら、まさかのPTA小説でした。もちろんワーキングマザーの日常なんて俺からしたらファンタジーより遠い世界の話なんですが、これだけ真摯に取材してリアリティある形で書いてあると想像もつきやすいですw やっぱり今の日本でワーキングマザーが子供を育てるとか、壮大な罰ゲームなんですね。全時代的な常識を基にした世間が、いかに理不尽で酷い状況なのか。凄く印象に残りました。母さんありがとう。
うさぎドロップ」も「よつばと」も、ここをしっかり書くと全然違った印象の作品になるんだろうな。