石持浅海「君がいなくても平気」

君がいなくても平気 (光文社文庫)

君がいなくても平気 (光文社文庫)

君がいなくても平気 (光文社文庫)

君がいなくても平気 (光文社文庫)

こうして抱き合っているけど、心底君を愛しているわけじゃない。だから僕は、君がいなくても平気だよ。
水野勝は二日酔いの頭痛を抱えながら、コンビニで出会った恋人の早智恵と共に会社に顔を出した。昨夜の祝勝会、新商品が思いがけずヒットした祝賀会で飲みすぎたチームの同僚はみな二日酔いで辛そうな顔している。そんな中、遅れてきて特に二日酔いの深刻そうなリーダーの粕谷が、ニコチンによる中毒死をしてしまう。動揺する早智恵をなだめていた水野は、彼女こそが粕谷を毒殺した犯人だという証拠を発見してしまった。なんということだ。殺人犯の恋人と、元恋人では、響きがぜんぜん違う。なんとしても早智恵が警察に逮捕される前に、早智恵と別れなければ。でもどうやって・・・。
この要約だけでも、主人公がいけ好かないヤツだということが伝わっているでしょうか。そんな嫌なやつが、ドロドロした嫌な事件に巻き込まれるダークな話かと思ったのですが、予想外にしんみりとした話になっていって逆に驚きました。
伏線の処理も丁寧で、何より短くさくっと終わる作品で、割と楽しめました。要は、いつもの石持浅海作品ですね。