西澤保彦「身代わり」

身代わり

身代わり

ボアン先輩の主催する飲み会が終わり、一同は安居酒屋<さんぺい>から二次会会場のボアン先輩宅に向かおうとした。ところがソネヒロ一次会でさっさと帰ってしまった。ソネヒロの様子に僅かな不審を覚えたボアン先輩だったが、酒も入っていることだし気にせず飲むことにした。ところが翌日、ソネヒロは死体で発見され、あろうことか女性に暴行しようとして返り討ちにあったということになっていた。事件そのものにもっとはっきりとした不審を見つけたボアン先輩は、他の学生と酒を飲みながらダラダラ考えることにした。
安槻大学の面子が事件を肴に酒を飲む、酩酊推理シリーズの最新長編になります。「依存」の後の話になるので、これまでのシリーズを先に読んだほうがよさげです。タックとタカチは療養中(?)で、ボアン先輩が主役になります。「愛情の名を借りた価値観の押し付け」というこのシリーズのテーマもさらりと書いてます。
「依存」を読んだのが10年くらい前になるのかな。重いテーマをまるで重奏曲のように幾重にも重ねながら、ラストできれいに収束する非常に完成度の高い物語なので、未読の人は是非、第一長編の「彼女が死んだ夜」から読みましょう。まだkindle判は出てないけど、そのうち出るでしょ。読んでるこっちも飲まなきゃやってらんねぇよ!レベルのドロドロした真っ黒な真相がたまらないですw
それはそれとして、安居酒屋でだらだら飲む学生時代の飲み会がたまらなく懐かしくなりましたよ。またああいうバカな飲み会したいなぁ。