貴志祐介「新世界より」

新世界より(上) (講談社文庫)

新世界より(上) (講談社文庫)

新世界より(下) (講談社文庫)

新世界より(下) (講談社文庫)

俺の中で貴志祐介ブームが来てるのかな・・・。
今から千年後の世界、人間なら誰でも呪術が使えるようになった未来世界を描いた超能力SF作品でした。渡辺早紀の回想という形式を通して語られる物語は、早紀の成長に伴って読者に適切な情報が与えられて、上巻の真ん中くらいから一気に面白くなります。
全ての人間に呪術が使え、その強力すぎる威力のために呪術を人間に向けると愧死機構によって死ぬ、という設定がいいですね。世界観もよく練られてます。誰もが他人を傷つけない理想郷のような社会と、そこにある脆弱性、悲劇を防ぐための喜劇的なまでの妄執。ある意味ディストピアものでもあります。
アニメ化もされたらしいです。