万条目学「かのこちゃんとマドレーヌ婦人」

低い草が生い茂る四角い空き地で、今日も猫たちが集まっていた。アカトラの猫であるマドレーヌ夫人は古タイヤにゆっくりと腰を下ろし、仲間とのおしゃべりに興じていた。今年から小学校に通うかのこちゃんは、マドレーヌと老犬の玄三郎に元気にあいさつをすると、楽しそうに出かけていった。
かのこちゃんとマドレーヌ婦人の小さな冒険を扱った話になります。時期的に「ペンギン・ハイウェイ」を意識しざるおえません。
おもしろいのは、かのこちゃんとマドレーヌ婦人が一緒に何かをするわけではなく、それぞれがそれぞれの冒険をして、それぞれの物語を綴っているあたりですかね。一人と一匹の小さな冒険と喪失の物語が、爽やかな筆致で描かれています。
さくっと読める短い作品で、なかなかいい作品でした。
かのこちゃんとマドレーヌ夫人 (角川文庫)

かのこちゃんとマドレーヌ夫人 (角川文庫)