貴志祐介「天使の囀り」

天使の囀り (角川ホラー文庫)

天使の囀り (角川ホラー文庫)

amazonのセールでkindleバージョンが値下げされてたので読んでみました。
ホスピスで末期患者のケアに携わる精神科医の北島早苗には、作家であり旅行記の執筆のためにアマゾン熱帯雨林に探検に出た高梨という恋人がいた。そんな折、早苗はアマゾンから帰ってからの高梨の様子がおかしいことに気づく。以前は病的なまでに死を恐れていた彼が、まるで死に魅せられたように自ら命を絶ってしまう。そして、他のアマゾン探索隊のメンバーも、あるものは自殺、あるものは失踪と姿を消していく。いったいアマゾンの奥地で何があったのだろうか・・・。
たいそう巧みな構成の作品でした。アマゾン探索中の高梨から早苗へのメールのみで展開される序章から始まり、高梨の変化に戸惑う早苗のパートともう一人の主人公(?)オタク青年の萩野のパートが交互に繰り返されます。アマゾン、ホスピスエロゲーと、どこに行くのかさっぱり見えない物語はめまぐるしく展開しながら、まがまがしくおぞましいラストになだれ込みます。これはすごい。
文章も巧みで、エロゲーオタク荻野のパートがリアルすぎて笑えてきます。彼がはまってるエロゲー「天使が丘ハイスクール」にはしっかりした主題歌が用意されていて、しかもむやみにリアルですw

School Days もう一度、君と過ごしたい。胸躍った、あの季節を。争いも、妬みも、苦しみもない世界で。
School Days もう一度、君に来て欲しい。夢がかなう、あの教室へ。大事なのは、素直な心、ただそれだけ。