桜庭一樹「青年のための読書クラブ」

青年のための読書クラブ (新潮文庫)

青年のための読書クラブ (新潮文庫)

マリアナ学園は東京、山の手に広々とした敷地を誇る、伝統ある女学園である。学園の正史は、学園の中枢ともいえる政治を司る生徒会、華やかな生徒が集まる演劇部、ゴシップを集め報道を行う新聞部が作っている。学園の南にある旧校舎に集まった異形の吹き溜まりのごとき読書クラブは、学園の正史に残ることのないヘンテコな事件を、暗黒の歴史として読書クラブ詩に書き残していた。
山の手の伝統ある女子高ものなんて書くとなんだか華やかな作品になりそうですが、ぜんぜん違います。家柄や容姿に恵まれず学園のメインストリームに入れなかったアウトロー側の少女が、学園の隅で本を読む傍らに起こした事件を綴った作品で、華やかさからあえて外した設定を取っています。そして表の華やかな世界を相対化し、“華やかな女の園”が持つ嫌らしさと残酷さを際立たせてます。うーん、悪趣味だw(褒めてます)
タカハシマコの漫画版もいい出来なのでお勧めです。ピッタリすぎる人選だと思いますw