やってみるまでわからない

世の中には、やってみるまでわからないものが、存在していると思います。事前に検討を重ねて選んだはずなのに、いざ始まってみると「あれ?」となるよしなしごとです。
例えば大学での専攻。高校生の頃、自分でこれが面白そうと思った専攻は全く楽しくなく、研究室選びと大学院進学を通して選考を変更しました。高校生のころには、その専攻の漠然としたイメージがあるだけで、具体的に何をやるのかわかってなかったというのがあると思います。
例えば最初の仕事。学生の頃、自分でこれが良さそうと思った働き方は、それなりに楽しかったものの、仕事に慣れて「まだ知らないことを覚える楽しさ」がなくなるにつれて、楽しさは減衰していきました。学生の頃の自分に具体的なイメージがなかった、というのももちろんあると思います。でもそれ以上に、自分が何を大事にしたいかわかっていなかったのです。
学生には仕事をした経験がありません。だからみんな、何を重要視したいのかわかっていません。その結果、大企業だから、有名だから、合コンでモテそうだから程度の理由で往年のJALみたいなどう考えても死んでる企業が人気になったりします。僕の場合は、「早くどこででも通用する(市場価値のある)エンジニアになれる」でした。でも仮に入社前に選んだ条件は満たしていても、その職場では毎日残業続きで休日出勤も頻繁かもしれません。体力的にまたは精神的につらい仕事かもしれません。一緒に働く人が唾棄すべき性悪の給料泥棒かもしれません。仕事内容そのものに興味がもてないかもしれません。
こういうことは起こって当然だと思います。まだ働いたことがないのに、どういう働き方がいいか判断しろってほうが無理なんです。でも一度働いたら、自分にとって何が大事なのかわかってくるでしょ。だから、合わないと思ったら粛々と辞めて、次は“自分の”条件に合う職場を選ぶようにすればいいのではないでしょうか。ちなみにおいらの場合は、「給料はそこまで重要じゃない」「ストレスの大きい職場は無理」という二つが働き始めてからわかったことでした。
若者の3割が3年で辞める、なんて言いますが、3割しか辞めないんだという驚きのほうが大きかったりします。何もわからないまま選んだ仕事が一生をかける価値がある仕事でした、みたいな運命の出会いは普通はありません。これはもう、「やってみないとわからない」ことなんで、仕事の決まらない学生も何でもいいからやってみる、ダメなら後で方向修正する、程度でとにかく働き始めたほうがいいのでは、なんて思います。


ちなみに結婚や育児も「やってみるまでわからない」ものですが、仕事と違って簡単に初めて簡単に辞めることができないので、こっちは気楽にはじめないほうが良さそうですね*1

*1:気楽に初めて気楽に終わるようにして出生率を改善したのがフランス、始めるのが大変なら終わるのはもっと大変で、結果としてみんな始めなくなって少子化に歯止めがかからないのが日本。話題がぜんぜん変わるのでこれ以上は触れません。(´-`).。oO(でも先進国の少子化対策は、子ども手当増額みたいなフランス型しかありえないと思います)