野村美月「“文学少女”見習いの、初戀。」

運命のその日は三月の終わりで、夕暮れのことだった。これから通う予定の高校を眺めて、新しい生活への憧れを膨らませていたとき、男の子が叫ぶ声を聞いた。それは、胸に突き刺さる、悲しい声だった。高校に入学してあのときの男の子に再会したわたしは、勢いで文芸部に入り、あのときの男の子、心葉先輩に対する遅い初恋を自覚したのだった。
「曾根崎心中」を題材に、“文学少女”らしく重い心中話を扱った外伝。ちなみに遠子先輩は出てきません。心葉にあこがれて文芸部に入った少女・奈乃が一人で突っ走り、心葉がサポートをして真実を想像するという、役割をそのままスライドさせた構成になっています。真実に向かい合うことを決意する心葉の強さが印象的でした。
どうでもいいけど、琴吹さんの扱いはちょっと酷すぎるのでは・・・。