桜庭一樹「少女七竈と七人の可愛そうな大人」

少女七竈と七人の可愛そうな大人 (角川文庫)

少女七竈と七人の可愛そうな大人 (角川文庫)

わたし、川村七竈十七歳は大変遺憾ながら美しく生まれてしまった。母がいんらんだと娘は美しく生まれるものだというばかげた仮説は当たらずとも遠からずで、わたしは母のいんらんのせいで非常に肩身の狭い少女時代を余儀なくされている。男たちに眺め回されるたびに、わたしは怒りを感じる。母に。世界に。
母と娘の宿命と許しの話、ということになるのかな。「少女」という存在を突き詰めて少女の視点のみで書かれたこれまでの作品とはちょっと毛色が変わっていて、この作品では元少女とも言うべき「女」の描写が多い作品でした。もしかしてこの作品から方向性がちょっと変わったのだろうか。正直、そんなにうれしい変化じゃないですw
少女から女性に焦点をずらしても、端正な少女小説が持つ鋭さと儚さがなくならないというのは、なかなかすごいことなのではないでしょうか。