熊倉隆敏「もっけ」5巻

もっけ(5) (アフタヌーンKC)

もっけ(5) (アフタヌーンKC)

彼岸の物に憑かれやすい憑巫な瑞樹と見たいわけでもないのに見えちゃう見鬼な静流の姉妹、民俗学とまじないに通じる爺さんの田舎生活を綴ったほのぼの妖怪漫画。
もちろん萌えの観点からでも絶賛されてしかるべきなのですが、確かな民俗学知識をベースにした爺さんの薀蓄だったり、姉妹の心の成長と妖怪を結びつけるストーリーテリングだったりに言及すれば、萌えにまったく触れなくても作品を褒められるんですよねw このバランス感覚は絶妙です。
妖怪を悩みや憂い、呪縛といった心の中の弱い部分の発露として扱うことで、爺さんの除祓がちょっとしたカウンセリングになってるのがポイントかな。それによって”憑かれて祓って”が少女の心の成長話として機能するのです。もっとも、そういうのを扱っているので、(かみちゅと比べて)ちょっとヘビーな話が多かったりもしますが。
萌えを前面に押し出さないことで非常に上品な作品に仕上がってます。