葉山透「ニライカナイを探して」

ニライカナイをさがして (富士見ミステリー文庫)

ニライカナイをさがして (富士見ミステリー文庫)

早朝の羽田空港で青い空と白い海と水着のきれいな女の子の載った沖縄旅行のポスターを見ていた僕は、ポスターの中の女の子、人気絶頂のアイドル宮沢利香とであった。僕は彼女に引き連れられて南へと旅立った。那覇石垣島、そして波照間島へ。ニライカナイ――神々のすむ島、伝説上の楽園――を目指して。ロードムービー風青春小説だそうです。
なんといってもタクローの一人称を通して綴られるリカの魅力に尽きますね。自分の可愛さを自覚しつつ小悪魔的にタクローをからかうところや、虚勢の裏に隠された弱さや繊細さ、そして本心を見てタクローがだんだん惹かれていく様子を物凄く丁寧に書いてあります。そしてそれが彼女の魅力を物凄くよく伝えているのです。タクローじゃなくても惚れそうですw
とはいえ、タクローの正体については蛇足だったかなぁ、と。こんな僕の本当のことを話したら、きっとリカに嫌われると思ってた。こういう思いや”ここではないどこか”への憧れなんてこの年代の男の子ならみんな持ってるものなので*1、そんな特殊な設定が必要だったとはちょっと思えません。
それを差し引いても十分にいい小説だとも思うけどね。これ読むと沖縄に行きたくなるw

*1:俺もw