若竹七海「心のなかの冷たい何か」

心のなかの冷たい何か (創元推理文庫)

心のなかの冷たい何か (創元推理文庫)

読了。
1991年のある日、わたしは会社を辞めた。気の向くまま旅をしようと思い立ち、箱根に向かう電車の中で一之瀬妙子と出合った。性格はわたしと正反対だったが、彼女の自分中心の考えは正直で飾りが無く一緒にいて面白かった。箱根から帰ってしばらく経つと、妙子から電話が掛かってきてクリスマスイブに二人で飲むことになった。ところが、クリスマスを目前に控えて妙子は自殺してしまった。わたしに当てた手記を残して・・・なぜ?ほんとうに自殺だったの?みたいな話。
さまざまな人間の中にあるどうしようもなく冷たい何かを見て凹んでも決して調査をやめない主人公がなかなかカッコイイですね。作中作を活用した構成もトリッキーで、ラストで二転三転する展開も面白い作品です。新書が出たのが91年だったりするから、いろいろな部分で古さは感じてしまいますが・・・。
もちろん、読んでる間に見つめるのは登場人物の、そして自分の”心の中の冷たい何か”なわけで、当然読後感も滅茶苦茶悪いので、はじめからそういうものだと思って読むべきでしょう。クリスマスに読むにふさわしい、ものすごくダウナーな小説でしたw