加藤元浩「Q.E.D.」19巻

犯人が始めから示された状態でハウダニットとどうやって犯人を追い詰めるか?な「マクベスの亡霊」、ちょっと趣向の変わった*1人の死なないミステリな「賢者の遺産」の2作を収録。
マクベスの亡霊」も質は高いし伏線の処理も推理のロジックも見事だけど、日常ミステリ好きの自分としては「賢者の遺産」の方が心を捉えた。真相よりそこに込められた意味が加納朋子作品みたいで非常に良かった。質の高さを考えるとこの人の日常ミステリは小説分野の他作家と比べても遜色ありませんね。この話自体は加奈の(燈馬に与える)影響を書くためにあったような気がしますが、出来はすばらしいものです。こういうの凄く好き。この話をするのに大げさな舞台装置を使う必要はあったのか、という疑問はありますが。

*1:ネタバレなのでこれ以上いえない