桜庭一樹「推定少女」

ネット世界で話題になったみたいなので読んで見ました。普通にかなり面白い。
「あんまりがんばらずに生きていきたいなぁ」そんなことを考えてる少女がいろいろあって家出して、途中で出会った記憶喪失の不思議な少女と逃避行するおはなし。
こんなふうにストーリーを説明することにあまり意味はないような気がします。というのは、この作品がストーリーより主人公のカナの(もっと一般に思春期の少年少女の)心理描写を重視してると思われるからです。

毎日どこかで、ぼくたちは大人にころされてる。心とか、可能性とか、夢見る未来とかを。

また、ストーリーや舞台装置もそういった心理描写を際立たせるためだけに存在しているようで、最近増えてきた「日常感覚を際立たせるために非日常要素を使う」タイプの作品でもあります。その系統の諸作品より描写が直接的なので分かりやすくなっているのが、実際にその年代の読者を意識してのことだとすると、僕はこの作品の読者としてちょっと微妙なのかもしれません。別にそんなことを気にはしませんが。


最後に一言いうぞ。
カナが凄ぇ萌える(*゜∀゜)=3 だって一人称が「ぼく」だぜ。ちょっと天然っぽいところもセクハラされたときの反応も、いちいち僕の心をキャッチアンドリリースしてますよ。まったく、恐ろしい。そんなわけで、カナに萌えればこの作品の評価は一気に数倍になることは明記しておきます。