伊坂幸太郎「死神の浮力」

僕たちの娘の人生を終わらせた男に無罪判決が出た。でも私たちは知っている。あの良心のない男が犯人だということを。玄関の向こうでコメントを求める記者たち粘る中、自転車に乗った男がやってきてインターフォンを押した。激しい雨の音がする中、男の声だけが落ち着き払っていた。「千葉と言うんだが」男の返事が聞こえた。
「死神の精度」の続編です。フィクションに登場するあらゆる死神の中で、一番ひいきにしている千葉の長編です。死を判定する対象から距離を置きながら、常にどこかずれた受け答えをしつつ、クールに仕事をこなす千葉さん。今回の対象は、悪の象徴のようなサイコパスに娘を殺され、そして復讐を誓う山野辺。調査のために同行する千葉は山野辺に復讐に巻き込まれていく・・・という話なのですが、山野辺サイドが基本的に防御一辺倒なので序盤はハラハラします。しかし、千葉は本当にいいキャラですね。緊迫した場面のどこかずれた受け答えが素晴らしいです。
伊坂幸太郎作品で一番キャラが立ってるので、伊坂幸太郎でアニメ化するならこれだろなんて思います。