乙野四方字「僕が愛したすべての君へ」「君を愛した一人の僕へ」

七歳の僕/俺は離婚という言葉の意味を理解していたし、父と母のどちらと一緒に暮らしたいかと聞かれた時も、特に取り乱すことなく答えを出せた。そこで母/父を選んだ僕/俺の前に、並行世界というものはあまりにも突然に表れた。そして僕は大切な人に会い、俺は大切な人を無くした。みたいな感じです。
ちょっと変則的な読み方みたいですが、同時進行で読みました。離婚した父親と母親のどちらを選んだかで分岐した暦少年の一生をつづった作品になります。2冊同時に発売している以上、2冊をまたにかけたクロスオーバーが見どころというのは容易に想像がつくのですが、その壮大さはちょっと予想を超えてました。ネタバレせずにこれ以上触れるのは無理ですが、今年読んだ作品の中で一番印象に残った作品です。
総合した読後感は「サマー/タイム/トラベラー」に近い感じかな。ライトノベル出身作家が書くハヤカワ文庫の作品にはずれはないですね。