2017-05-11 長谷敏司「My Humanity」 小説 My Humanity作者: 長谷敏司出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2014/10/30メディア: Kindle版この商品を含むブログ (4件) を見る短編集です。「あなたのための物語」と世界設定を共通する「地には芳醇」「allo, toi, toi」の2作が特に気に入りました。「地には芳醇」はシアトルの街でITPの多言語アジャスタを研究するケンゾーを主人公に、技術と伝統文化の関係を扱った話です。最初は日本文化を否定していたケンゾーがやがて謙三になり日本人であることを思い出す、という海外に住んでる日本人あるあるみたいな話でした。と書くと強引にまとめすぎてるかな。本当はもっといろいろ考察できる面白い話です。 「allo, toi, toi」は自動性虐待と殺人で刑務所に入ってる囚人にITPを埋め込む話なんだけど・・・。なんというか、本物は違うなと。好き嫌いをめぐる人間の脆弱性の話なんだけど、それよりも本物の狂気とすさまじさを感じる作品でした。 素晴らしい短編集ですね。