貴志祐介「悪の教典」

悪の教典(上) (文春文庫)

悪の教典(上) (文春文庫)

悪の教典(下) (文春文庫)

悪の教典(下) (文春文庫)

軽妙な語り口と面白い授業で生徒にも人気な英語教師、蓮実聖司は担任を務める2年A組の問題を精力的に解決していった。頭が切れて社交的、ハイスペックを絵にかいたような蓮見はあらゆる手段を使って問題を鮮やかに解決していった。うるさいモンペの家には証拠が残らないように放火をして、対立する教師は自殺に見せかけて殺し、それでも完璧に計画された犯行はばれることなく誰も蓮見を疑わなかった。
むちゃくちゃ優秀で、それでいて他人の痛みを全く想像しないサイコパスが、学校という閉鎖空間で王国を作る話です。面白かった。蓮見が追い詰められて開き直ってからのめちゃくちゃな展開が楽しい後半よりも、ただ冷酷に障害を排除し目的を遂行する前半のほうが面白かったですね。
序盤の展開はちょっとだけ映画「Night Crawler」に似てます。