宮内悠介「ヨハネスブルグの天使たち」

初音ミク小説でした。
ヨハネスブルグの天使たち」「ロワーサイドの幽霊たち」「ジャララバードの兵士たち」「ハドラマウトの道化たち」「北東京の子供たち」という5編収録の短編集。日本製の歌唱ホビーロボットDX9、通称"歌姫"が空から落ちてくるというモチーフで、南アフリカ、ニューヨーク、アフガニスタン、イエメン、そして東京の物語をつないでいます。抑えの効いた筆致で綴られる戦地やスラムの欝々とした雰囲気はすごくいいです。そこに唐突に文字通り振ってくる初音ミク。なにそれ?
初音ミクを振らせなくても同じ話ができそうなあたり、ものすごく真面目に作った一発ギャグみたいな作品なのでしょうか。ひたすら落ちたり顔をつぶされて兵器になってたり、DX9の扱いがあんまりにあんまりなので初音ミクがモデルだと全く気づきませんでしたw
前作「盤上の夜」のほうがよかったかな。