皆川博子「開かせていただき光栄です」

18世紀のロンドンで死体解剖教室を営む外科医のダニエルのもとに、身元不明の死体が現れた。四肢を切断された少年の死体、そして顔をつぶされた男の死体。降ってわいた死体を前に、盲目の治安判事フォールディングは身元不明の殺人事件の調査を開始する。調査の過程で少年の死体は夢を追ってロンドンに出てきた、そしてダニエルの弟子エドとナイジェルと親交があったネイサン少年のものだと判明した。
夢を持ってロンドンに出てきた少年ネイサンのパートと、そのネイサンが死体となっているダニエルのパートを交互に繰り返しながら物語は進行します。巧みな物語構造もよかったけど、それよりも18世紀ロンドンの空気が感じられるような文章のうまさに感銘を受けました。こんなに文章のうまい小説、久しぶりに読んだ気がします。
続編もあるようなので、そのうち読んでみます。