小林泰三「天獄と地国」

天獄と地国

天獄と地国

頭上には地面が、足元には星空が広がる世界。地面に固定されていないものは星空に向かって落下?していく世界を舞台にしたSFです。人間の乗る宇宙船も地面に杭を打ってぶら下がっていないと落ちていきます。凄い世界だ。要は重力より遠心力が圧倒的に大きい場所、地球よりはるかに太陽から遠い公転周期上、ということなのでしょう。そんな世界で、落穂拾いをしているカムロギが、古の兵器を手に入れて伝説の地国を目指す、というお話です。
これはもう設定の勝利でしょう。タブーに挑戦し、世界の果ての向こう側を目指す物語になります。古の兵器がやたらとグロテスクで、体中の穴から勝手に進入して神経接続して起動するとか、描写がいちいち嫌らしいのがらしいですね。
なかなか面白かったです。