岡田麿里「あの日見た花の名前を僕たちはまだ知らない」

高校一年生の夏をテレビゲームでただひたすら浪費していた。あのころの俺はこんなじゃなかった。小学校五年生の夏。学校の裏手の山の、もう使われていない炭焼き小屋、俺たちの秘密基地で俺はリーダーだった。仲間の一人が事故で他界するまでは。そして今、他界したはずのかつての仲間、本間芽衣子めんまが俺の前に現れた。
アニメは見たことあります。アニメの内容的に内面描写がしやすい小説のほうがいいだろうと、また作者がアニメの脚本家?だということで、小説も読んでみました。やっぱり小説のほうが好みですね。つるこやぽっぽといったアニメでは影が薄かった(この二人はアニメでももう少し描写するべきだった)人物の内面描写がしっかりされています。
窮屈きわまりない現在と、何でもできるつもりで何もできなかった過去をめぐる、ひと夏の再生と喪失の物語。非常に面白かったです。こういう青春小説すきなんだよね。
どうでもいいけど、作者の岡田麿里、ものすごく露悪的な文章を書く人でびっくりしました。

女性器をわかりやすくデフォルメした<<色欲>>は、くぱぁくぱぁと開いたり閉じたりを繰り返す。そいつらを片っ端からさくさくと殺し、ついでにさくさくと時間を――高校一年の夏を、ただひたすらに浪費していく。
くぱぁくぱぁに蝉が鳴く。暑い。

しょっぱなからこれはひどい