三部けい「僕だけがいない街」1、2巻

少しだけ過去をやり直せるリバイバル能力のある主人公。違和感を探し危機を回避するまで終わらないはずのリバイバルが、母親の観察だけで終了してしまった。何が危機だったのか、なぜ危険は去ったのか。何もわからないまま母親が殺されてしまう。全てをやり直すことを願い、主人公が時を巻き戻すと、そこは18年前で自分は小学生だった。友人を含む少年少女が犠牲になった誘拐事件。全てはここから始まっていたのか。という感じ。
これは面白い。
現在の状況を変えるために過去を変える話になっていくのですが、主人公の行動によって周囲がどう変わっているのか、非常に丁寧に書かれていて好感が持てます。被害者1の幸薄ツンデレ少女である雛月さんが、少しずつデレて行く様子がほほえましいです。まあそんなこと言ってる場合じゃない事態ではあるんですが。
事件に関する情報提供も適切で、常に読者の興味を引き続けてます。このあたりの演出はとてもうまく、サスペンスミステリとして凄くよくできています。
まだ風呂敷を広げてる段階ですが、きちんとたためたら相当な傑作になりそうです。
それにしても、2巻の引きは強烈過ぎです。早く3巻を(kindleで)読ませてください。