押切蓮介「ミスミソウ」

ミスミソウ: 1 (ぶんか社コミックス)

ミスミソウ: 1 (ぶんか社コミックス)

これは傑作。
父親の仕事の都合で、東京から田舎町の中学校に転向してきた野咲春花は、よそ者扱いされて深刻ないじめを受けていた。どこにも鬱屈を発散することがない小さな田舎町。大人も子供も、どこにもはけ口を見出せぬまま、ストレスを溜め続ける小さな社会。卒業を控え、雪に閉じ込められた逃げ場のない精神的な閉鎖空間で、登場人物の精神は次第に病んでいき、事態は取り返しのつかない局面を迎えてしまう。
アマゾンのセールで1巻を買って、あまりの面白さにそのまま最後までポチっちゃいました。
2巻からはスプラッタぽさも出てくるけど、基本はサイコホラーです。閉塞感に満ちた狭い世界で登場人物の狂気が暴走していく序盤から、引き込まれまくってました。この閉鎖的で狂った世界観はすさまじいです。息が詰まります。また、同時に非常に美しくもあります。降りしきる雪の中、いじめと復讐により壊れた心で、凛としてたたずむ春花が息を呑むほど美しいです。真っ白い世界、真っ赤な鮮血、無表情にたたずむ美少女。完璧です。(何が?)
素晴らしい作品なのですが、内容が内容だけに素人にはおすすめできないです。すごいものを読んだ。