森見登美彦「恋文の技術」

([も]3-1)恋文の技術 (ポプラ文庫)

([も]3-1)恋文の技術 (ポプラ文庫)

拝啓。
お手紙ありがとう。君は相も変わらず不毛な生活を満喫しているそうで、まことに嬉しく思います。俺はとりあえず無業息災だが、俺のプライベートについては大きなお世話です。新天地を求めて、本当は教授に言われるがまま、やってきたここ能登半島で、文通に精を出そうかと思っています。そして文通修行の後に、「恋文に技術」を取得し、あの娘に手紙を出すつもりです。
話は変わりますが、少し前に変わった小説を読みました。その小説は、すべての文章が「手紙」で記載されて、(書簡体小説、なんていうらしいです)主人公がいろいろな人と文通をして、その手紙を通して僻地の研究所に島流しにされた一年を綴ったものでした。作者である森見登美彦氏も出てきていて、しかも作中に登場する女性がみんな登美彦氏のファンという、それはどうなのよという突っ込みが止まりません。
それでも、登美彦氏の非モテ小説はやっぱりすばらしく、達者な文章で詭弁と自己正当化を繰り返す主人公が愛らしいじゃないですか。
長くなったのでこの辺で筆を置きます。
追伸
この主人公は筆記用具で手紙を書いてるのでしょうか。このITの時代に?僕なら間違いなくメールにします。でもこの小説の主人公がFacebookでキャッキャウフフしてたらそれはそれで嫌かもしれません。
それでは。