桜庭一樹「赤朽葉家の伝説」

赤朽葉家の伝説 (創元推理文庫)

赤朽葉家の伝説 (創元推理文庫)

不思議な力を持ち、神通力で未来を視たわたしの祖母、赤朽葉万葉。激しい生涯を駆け抜けるように生き、若くして死んでいったわたしの母、赤朽葉毛鞠。そしてわたし、赤朽葉瞳子は、残念ながら語ることを何一つ持っていない。それでもわたしは生きていきたい。悩み多きこのビューティフルワールドを。
山陰地方の旧家である赤朽葉家とたたら製鉄から近代製鉄業を経て製造業となる赤朽葉製鉄の盛隆と衰退を、戦後日本のそれと重ね合わせて描きつつ、女三代の波乱に満ちた人生を描いた重厚な小説でした。でも面白いのであっという間に読んじゃいました。二代目の毛鞠さんパートがいいですね。基本的に衰退するだけの三代目はちょっと割を食ったかな。
ミステリ的にはあんまり見るところはないので、日本推理作家協会賞はかなり懐が深いのでしょう。