タカハシマコ「それは私と少女は言った」

それは私と少女は言った (KCx)

それは私と少女は言った (KCx)

誰がこまどり殺したの?
駒沢鳥子が自ら命を絶ってから三年。遺書も残さず、同級生の目の前で電車に轢かれた奇跡のような美少女の姿は、級友たちの心に深い印象を残した。高校生になり再開した彼女たちの携帯に、鳥子を名乗るブログのアドレスが送られてきて・・・。少女たちは、自分の中の“鳥子”と向き合うことになった。みたいな感じ。
これはすごい。
マザーグースの「Who killed Cock Robin?」を題材にした作品です。美しいこまどりを殺し、死を見届け、血を受け、お悔みを言った小動物たちと対比させつつ、完璧に美しい存在を前にして自分に対峙することになる(そりゃー性格も歪むわ)少女たちの、暗い心の底を美しく描写しています。そして、みんなびっくりするくらい真っ黒です。
この作品、これまでのタカハシマコ作品の中で一番ダークで、そして一番美しいです。一応ミステリ的な回答は用意されてるけどそれは全然重要じゃなくて、醜い心の内を少女という砂糖菓子で飾って、そこに生じる自己愛と自己嫌悪で逆説的に少女を美しく書いてる感じですね。まあ何人かドン引きするレベルで真っ黒ですが。
悪趣味である意味極まってる作品だけど、圧倒的に暗く、美しい内面描写にくらくらします。