伊坂幸太郎「モダンタイムス」

モダンタイムス(上) (講談社文庫)

モダンタイムス(上) (講談社文庫)

モダンタイムス(下) (講談社文庫)

モダンタイムス(下) (講談社文庫)

「勇気はあるか?」
主人公、渡辺巧は、妻に浮気を疑われ、妻に雇われた男に拷問されかけた。拷問から解放され出社した渡辺を待っていたのは、職場から逃げ出した五反田先輩の引き継ぎ業務だった。簡単な仕事だと思った出会い系サイトの修正は、そのサイトの隠しプログラムを解析したことから、異変が生じ始める。かくして渡辺は、得体のしれない「システム」に翻弄されることになった。
世の中の仕組みとして「そういう風になっている」ものである、大きなシステムに対峙する話でした。ここでいうシステムは、コンピュータープログラム程度のものじゃなくて、国家規模のものです。自分に牙をむく大きな仕組みに対して、それぞれが何を選択しどうしたか、という物語なのでしょう。たいそう面白く一気に読んじゃいました。「ゴールデンスランバー」とついになる話というのは納得です。
でもこれからの世の中で、システムを作るのは国家じゃなくて巨大企業なんだろうな、とは思います。