機本伸司「神様のパラドックス」
- 作者: 機本伸司
- 出版社/メーカー: 角川春樹事務所
- 発売日: 2010/11/01
- メディア: 文庫
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ということで、最新鋭の量子コンピューターで解析世界を作り、その世界の解析神に未来を予測(神だから観測)させようという事業になります。神の定義をしっかりと行い、実際に作ってみることにより背理法で神の不在を証明するまでが序盤の山場だったりします。そのあとの展開もなかなか素晴らしいです。
これまで、宇宙だの救世主だのを作ってきた作者が、より根本的な問いに挑んだ作品ということになるのでしょう。でもそれ以上に、主人公の直美のキャラクタがよかったんじゃないかな。これまでの作品だと、沙羅華を筆頭に天才だったりエキセントリックだったりしてたわけですが、どこまでも平凡な直美を主人公に置くことで登場人物の悩みが身近に感じられます。神になるべく作られて、自分では世界中の人を幸せにすることはできないと悩むフライデイMもいいです。
これまでの機本伸司作品で一番面白いんじゃないかな。おすすめです。