大月悠祐子「妄想少年観測少女」1,2巻

妄想少年観測少女 1 (電撃コミックス)

妄想少年観測少女 1 (電撃コミックス)

妄想少年観測少女 2 (電撃コミックス)

妄想少年観測少女 2 (電撃コミックス)

これはすごい!
フェチ方面に全力で突っ走ったラブコメ?とでもいうべき微妙な作品なのですが、これすさまじいです。ニヤニヤとかそういうの通り越してます。官能的で、耽美的で、文学的で、圧倒的に美しいフェティッシュを極めた描写に心が乱されます。わかりやすい言葉でいうとゾクゾクします。直接的なエロ描写もないし、ぶっちゃけ絵も上手いとは言えないのですが、それでいてここまでえちぃくできるというあたりに、作者の圧倒的な才能を感じます。これはすごい!
いつから女性の肌に惹かれるようになったのかは、定かではない。一番古い記憶は幼稚園の頃、中学に上がったころからはフィギアの女の肌に絵を書いてきた。高校に入ってからは、同じクラスの柏木真由に惹かれている。彼女の制服を脱がし、あの美しい肌に絵を描けたらどんなに素晴らしいだろう。という妄想が実現して・・・。柏木真由は重度の手フェチであり同じクラスの相原くんの美しい指と、その指が紡ぎだす絵に圧倒された。そして相原くんに、その指で直接わたしの体に絵を書いてもらうことを申し出た・・・。といった感じに前後編で双方向の視点から描写しています。指に絵具を塗りたくりそのまま柏木真由の体をなぞり絵を書く、という直接的な描写こそカットされてるものの、緊張や羞恥で上気した二人の表情がたまらなく色っぽいです。その後は、所有物フェチ、メガネフェチと登場人物と性癖を変えて続いていく連作短編形式になっています。
変態であるがゆえに純粋に妄想する少年側と、あっさり変態の壁を乗り越える少女、という対比になってるのかな。
ここまで心がかき乱される作品は初めて読むかもしれない。本当にすさまじい作品です。