小林泰三「天体の回転について」

天体の回転について (ハヤカワ文庫 JA コ 3-3)

天体の回転について (ハヤカワ文庫 JA コ 3-3)

ガチなSFの短編集。表紙以外は、ライトノベルぽさは皆無だったりします。
特に気に入ったのは表題作「天体の回転について」かな。科学が禁忌になった世界で、月への旅行を夢見る少年は、人類の遺産である軌道エレベーターに乗り宇宙を目指す。少年はそこで、プログラムで表現されたエレベーターガール・リーナと出会い、リーナとともにラグランジェポイントを経由し、宇宙を目指した。という天体物理学SF。ラグランジェポイントやコリオリ力に関するリーナの説明がかなり詳しく、わかりやすいのがポイントかな。めずらしく、おセンチで前向きな恋愛譚になってますw
短編集としてのクオリティは「海を見る人」のほうが上だと思うけど、総じていい短編集でした。