ここまでひどくなるとはちょっと予想してなかったわ。
フクシマがチェルノブイリと同じ文脈で世界のエネルギー情勢を変える一大事件になった理由をまとめておきましょう。

  • リスクが民間企業が扱いきれない

万が一の事態だ起きたら、一民間企業が何とかできるレベルを簡単に超えることがはっきりしました。原発周辺の半径十数キロが100年立ち入れなくなって、半径100キロくらいの農業が壊滅して、太平洋沿岸の漁業が死ぬ、という今回の被害の補償はどうするんですかね。

  • 実はそんなに安くないことが判明

これまで言われていた「原子力は石油より安い」という言葉に、「絶対に安全だから事故が起きた時のことなんて想定すらしない」から安いという意味が含まれていた。きちんとリスクを見積もって、引当金を含めて万一に備えた準備をすると実は原発は安くない。ということがはっきりしました。

  • 技術を売りにする先進国、資本主義国で起きた

まあソ連国営企業がしたことだから、という言い訳が使えません。チェルノブイリでは共産主義国が情報を隠ぺいして被害が広がったけど、官僚とずぶずぶの企業はどこもそんなものだとばれてしまいました。

  • 中東の混乱と同時期に起きた

ドイツがいち早く原発からの離脱を決め、アメリカが追随しようとする中で、もともと先行きが見えなかった中東の混乱の意味が変わってきました。石油をめぐり駆け引きをする、アメリカと、独裁政権民主化を求める大衆。原油価格は間違いなく上がるけど、中東はどうなるんでしょうね。


それでも、今ある原発をいきなり全部なくせるわけがないので、廃炉になったタイミングで少しずつ減らしていく、という方向になるのでしょう。その間に、石油や天然ガスによる供給を増やして新エネルギーが価格競争力を持つようになるといいね、みたいな感じで。
そうそう、この夏をどうするのかという短期の問題と、日本のエネルギー需要と東電をどうするのかという長期の問題は分けて考えてくださいね。