大西科学「さよならペンギン」

さよならペンギン (ハヤカワ文庫 JA オ 9-1) (ハヤカワ文庫JA)

さよならペンギン (ハヤカワ文庫 JA オ 9-1) (ハヤカワ文庫JA)

これまでの古典物理学SFとは打って変わって、量子SFでした。
世界の観測者として確率論的に重なり合う可能性の中で、自分が生き延びる世界だけを観測し続けて1500年の南部は、塾講師の仕事を終えると延長体・ペンダンの待つ自宅へと生のアジを抱えて帰宅した。フンボルトペンギンから少女へと姿を変えたペンダンとともに、南部は他の観測者を探しに、夜の街に繰り出した。
なんですかね、この古典物理学の常識で量子力学に接したような違和感は。えーと正直微妙だと思います。
少女にもなるペンギン・ペンダンと南部の会話や生徒とのやり取りなどの日常描写はなかなかいいのですが、途中から展開されるバトルの必然性がいまいちわかりませんでした。もちろん、ストーリー内の必然性ではなくストーリー上の必然性の話ね。
量子力学SFならもっと主観があいまいでぐねぐねした酩酊感のある作品のほうが個人的には好きですが、それを差っぴいてもこれまでの古典力学SFの方がクオリティ高いと思います。