湊かなえ「告白」

告白 (双葉文庫) (双葉文庫 み 21-1)

告白 (双葉文庫) (双葉文庫 み 21-1)

わたしは今月いっぱいで教職を退職します。だからみなさんは、わたしの最後の生徒ということになります。あの事件が原因なのか?そうですね。娘の死がただの事故なら教師を続けていたかもしれません。でも娘はこのクラスの生徒に殺されたのです。
という第一章から視点人物を切り替えて、一つの事件を立体的に見せていくという作品になっています。この手の作品の例にもれず、なかなか不安定な一人称の描写から視点人物やその他の登場人物の心の暗い部分を描くダークな作品となっています。でもこの作風でやるなら、森口先生の歪も書かないとただの勧善懲悪になっちゃうような・・・。
この手の作品では、事件自体が神秘的で幻想小説の雰囲気を持つ恩田陸の作品が一番好きですね。