近藤史恵「サクリファイス」

サクリファイス (新潮文庫)

サクリファイス (新潮文庫)

素晴らしい。
インターハイに出場し、将来を嘱望された陸上競技を辞めて、ぼくがたどり着いたのはロードレースだった。周囲の期待を背に、両肩に重石を乗せて走っているような息苦しさがあった陸上時代とは違って、チームのエースのためにアシスト役に徹するというロードレースは、自由で、楽しく走ることが出来た。ところが、大きなレースでエースを勤める石尾にアクシデントがあり、アシスト役のぼくがステージ優勝をしてしまう。チームでもう一人のエースを期待されたぼくに、石尾の視線がつきささる。みたいな感じ。ロードレース青春小説ですかね。
休日にはやよい号で近所を走り、ツールドフランスのダイジェストを見るくらいにはロードレースに親しんでる(?)俺ですが、ロードレースの駆け引きや協業体制を丁寧に説明していて好感が持てます。これで、今年のツールはこれまで以上に楽しく見れそうですw それでいて、いくつものどんでん返しを繰り返すミステリ要素も備えていて、隙がないなと思いました。ミステリとしても、スポーツ小説としても面白い、素晴らしい作品だと思います。
自転車に乗る人は読みましょう。