有川浩「海の底」
- 作者: 有川浩
- 出版社/メーカー: 角川グループパブリッシング
- 発売日: 2009/04/25
- メディア: 文庫
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これはすごい。
「空の中」に続いての怪獣小説です。本作で出てくるのは、人間大のザリガニの大群。チキン質の硬い殻は、警防やジュラルミンの盾による一撃にはびくともせず、大きなはさみは生身の人間をたやすく打ち倒す、という状況になります。必然的に警察では太刀打ちできずに、対怪獣戦は自衛隊出動と銃火器の使用を警察官僚出身の政治家や内閣にどうやって認めさせるかという防衛組織の駆け引きになります。社会派だねw
もう一つの柱として、潜水艦の中に閉じ込められた大人二人と子供たちによるいざこざ、子守りが書かれています。密閉空間で生まれる軋轢と衝突、そして・・・という展開がかなり面白かったです。
ありえない出来事を一つだけ認めて後の出来事を社会学方面にシミュレートした作品で、荒唐無稽な設定からは想像もつかないほどリアリティのある作品だと思います。