林亮介「散る花の残すもの」

迷宮街クロニクル2 散る花の残すもの (GA文庫)

迷宮街クロニクル2 散る花の残すもの (GA文庫)

21世紀の京都を舞台にしたダンジョンRPG迷宮街クロニクルの二冊目。
死が当たり前に存在する街にもかかわらず、登場人物たちは若者として当たり前の生活をして、ダンジョンにもぐって稼いだ金で服を買ったり恋人とデートしたり意中の人に想いを伝えたりします。ただ違うのは、ちょっとだけ仲良くなれたあの人が次の日にはあっさり死ぬことがあるだけで。この世界の住人は、他の登場人物のためでも、物語のためでもなく不幸な事故やちょっとしたトラップでただ死んでいきます。
そんな世界で普通に過ごす彼らは、やはり外から見たらちょっとづつ変わっていて・・・。という感じの迷宮街の外にいる人物を通した描写が印象的でした。
あっさりと描写される死そのものには何の意味もなくて、生き残ったまわりの人がそれをどう乗り越えていくのかという話なのでしょう。ここまで死が軽い小説はそうないと思います。すごいね。