仁木英之「僕僕先生」

僕僕先生 (新潮文庫)

僕僕先生 (新潮文庫)

唐代の中国、官僚の息子として気楽なニート生活を楽しむ王弁は、道教にはまった父親の命で近くの山の仙人に会いに行くことになってしまった。そこで王弁を待ち受けたのは、一人称が僕の可愛い少女だった。「名乗っておかねばなるまい。姓は僕、名は僕」「ボクにとって名前など何の意味もない。君がボクのことを認識するのに特別な名前が必要か?」いろいろあって王弁は、少女の姿をした仙人に弟子入りし、共に旅をすることになってしまった。
なかなか面白いです。妖艶な少女と共に旅をするというニート青年の夢を具現化したような(w)素晴らしい話でした。僕僕先生のキャラクター造詣は見事だし、大昔の中国の政治組織や官僚機構も丁寧に書いててキャラクター小説としても楽しいし、老子の薀蓄や中国の伝承もふんだんに盛り込まれていて歴史小説としても楽しめる作品だと思います。
王弁と僕僕先生の旅は今後も追っていきたいですね。