石持浅海「顔のない敵」

顔のない敵 (光文社文庫)

顔のない敵 (光文社文庫)

これはなかなか面白いです。オタワプロセス(対人地雷禁止条約)を実現しようと活動するNGOから、地雷製造会社、カンボジアの地雷原など舞台や登場人物、時系列を変えながら進む連作短編。
誰が踏むかわからないし、踏まれなきゃそのまま未来永劫残り続けるという対人地雷の性質を、上手くミステリに活用してて感心しました。兵器としての地雷の性質を扱った話から、地雷の悲劇性を動機に持ってきたものまで、内容は多岐に渡っています。
ベストは表題作「顔の無い敵」かな。