伊坂幸太郎「魔王」

魔王 (講談社文庫)

魔王 (講談社文庫)

電車の中と、職場であった不思議な出来事で、俺は自分の「力」に気づいた。目の前の人間に、俺の思ったとおりの言葉をしゃべらせる能力。だけど、そんなこととは関係なく、世間では政治家の犬飼を中心に、大きな世論の洪水が起きていた。
うーん、いまいちかな。
ファシズムがどうとか、作者の伝えたいことはものすごく伝わるけど、ストーリーがあんまりです。文学ならこれでいいのかもしれないけど、ミステリやエンターテイメント小説でこれはまずいでしょ。淳也の行動も国民投票の結果も書かれないのには逆に驚きですよ。
単純な勧善懲悪になることが多い伊坂幸太郎には珍しく、中途半端な作品でした。