甲田学人「断章のグリム8 なでしこ・上」

断章のグリム〈8〉なでしこ(上) (電撃文庫)

断章のグリム〈8〉なでしこ(上) (電撃文庫)

机と、その上の花。一目でわかる、死。誰もが琴理の死を受け入れられなかった。沈痛な面持ちで花瓶を見下ろす、琴理の恋人だった臣も信じられないという想いを抱いていた。幼馴染の一馬に促され、臣は花瓶から一本のユリを抜き取ると教室を後にした。二人は気づかなかった。臣がユリを引き抜いたときこぼれた水が机の上に広がり、まるでそこから誰かが見下ろしていたかのようにべったりと裸足の人間の足跡が浮かび上がったことに。かくしてまた、<童話>が始まる。
元ネタの「なでしこ」はグリム童話にあるらしいんですが、知ってた?俺は知らなかったよ。
グランギョニョルの予言も出て、小さな事件が起こっているのに、<泡禍>と断定する決定的なものがないまま、重苦しく進行する上巻でした。
物語への言及は下巻を読むまで控えるけど、今回は<泡禍>の全貌を当てたれそうな気がします。