石持浅海「セリヌンティウスの海」

セリヌンティウスの舟 (光文社文庫)

セリヌンティウスの舟 (光文社文庫)

嵐の海での遭難事故を手を取り合って生き延びた六人の仲間たち。ダイビングのあとの飲み会で、その中の一人が自殺した。彼女の自殺には、警察には取るに足らないことだけど僕たちにとっては腑に落ちない点が見つかった。僕たちは、彼女を信じるために、彼女の自殺のなぞを追っていくことになった。みたいな感じ。
「酩酊推理+安楽椅子探偵+自殺」という、若竹七海西澤保彦あたりが書けばこれ以上ないくらいに後味悪くなりそうな設定なのに、さわやかな話になってます。まずそれが一番の驚きですw 新鮮で面白かったです。
自殺した人の心の暗部を覗き込むのではなく、酔いに任せて魂の暗い部分を想像するのでもなく、仲間を信じるために謎を解明する。確かにこういう設定は読んだことなかったな。
どうでもいいけど、石持浅海の本ってどれも装丁が地味すぎるような気がします。