機本伸司「僕たちの終末」

僕たちの終末 (ハルキ文庫)

僕たちの終末 (ハルキ文庫)

「この際だ。はっきり言おう。僕が宇宙に求めているのはエクソダスじゃない。真理だ。自分が今ここにいる理由が、きっと宇宙にはある」

太陽活動の異常から、近い将来地球が壊滅的なダメージを受けることが予想される近未来。悪いうわさや不安が熱病のように蔓延する中、那由は「宇宙船を作りませんか?」と書かれた怪しげなサイトを見つける。いろいろあって、那由とその父親の会社は、宇宙船を作るプロジェクトを立ち上げることになった。
「神様のパズル」では宇宙を、「メシアの処方箋」では救世主を作ったわけですが、本作で作るのは恒星間宇宙船です。もちろん物理法則を満たして作るので、三倍速く動くには三倍の燃料を積んで、減速用の燃料も残さないといけない世界だったりします。つっても、扱ってるのが古典物理の領域だから今までで一番わかりやすかったけどねw
機本伸司の作品の物理学以外の特徴である、青春小説的な側面に関しては本作が一番よかったかな。