森博嗣「クレィドゥ・ザ・スカイ」

クレィドゥ・ザ・スカイ―Cradle the Sky (中公文庫)

クレィドゥ・ザ・スカイ―Cradle the Sky (中公文庫)

自由だ。
何もかも無関係。
僕は僕であって、僕以外には無関係。
どうして、こんな簡単なことが許されないのか?
どうして、こんな単純なことが許されないのか?

病院を抜け出した僕は、フーコと一緒に夜の街を走り、相良に助けられながら、組織から逃げていた。もう僕が空に上がることはないだろう。それでも、僕は、目を瞑ると空を飛ぶことを考えてしまう。再び飛び立ちたい。自由に。どこまでも自由に。美しい空を。
純粋に、どこまでも純粋に空を目指す、大人にならない子供・キルドレの物語もこれで完結。主人公の立ち居地や主人公そのものがコロコロ変わるシリーズだったけど、「クレィドゥ・ザ・スカイ」では“僕”の記憶があいまいで、自分からも解き放たれた究極に自由な存在になってます。それだけに、余計なものを何も持たない“僕”は身軽で、空への憧れは果てしなく純粋で。俺の心の中二病的な部分を捉えて離しませんw こういうのを美しいと感じる心はなくしたくないですね(割とまじめに)。
主人公がみんなキルドレだからか、曖昧でよくわからないところが多い話だけど、無駄の全くない綺麗な小説でした。(´-`).。oO(映画もみようかな)
過去作品の言及はこちら。作品同様、無駄がなく、シンプルで美しい装丁もいい感じです。
スカイ・クロラ)」「ナ・バ・テア)」「ダウン・ツ・ヘヴン)」「フラッタ・リンツ・ライフ()」