森見登美彦「四畳半神話体系」
- 作者: 森見登美彦
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2008/03/25
- メディア: 文庫
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大学三回生の春までの二年間、実益のあることなど実益のあることなど何一つしていないことを断言しておこう。異性との健全な交際、学問への精進、肉体の鍛錬など、社会的有意の人材になるための布石の数々をことごとくはずし、異性からの孤立、学問の放棄、肉体の衰弱化などの打たんでもいい布石を狙い澄まして打ちまくってきたのは、なにゆえであるか。
責任者に問いただす必要がある。責任者はどこか。
私のこれまでの大学生活を省みるに、一回生の春にあのサークルに入りあの男と知り合ったことがそもそも間違いだったといわざるおえない。あの場所で、
- 映画サークル「みそぎ」
- 樋口師匠の弟子
- ソフトボールサークル「ほんわか」
- 秘密機関「福猫飯店」
に入らずに、私の盟友であり宿敵であり、唾棄すべき腐れ縁の小津と出会わなければ、きっと私の魂はもっと清らかであっただろう。
という感じで、大学入学後、どのサークルを選ぶかで変わるさまざまな大学生活を平行世界で書いた、ダメな感じがすばらしい作品でした。どの選択肢を選ぼうと、ダメな学生のだらだらした生活が待ってるし、小津は出てくるし、
ダメなやつは何をやろうとダメ、みたいな。
平行世界を移動する「もちぐま」や世界間の微妙なリンクといった遊びも面白く、前作「太陽の塔」よりエンターテイメントとして洗練された作品だと思います。
ダメなことは変わりないけどなw