矢崎存美「明日をほんの少し」

蝉の声もしない静かな帰り道で、あたしの足に、最新機種の携帯電話がかつんとぶつかった。交番に届けようと歩き出すと電話がかかってきた。「自宅」と表示された電話に出て、すぐに持ち主に返すことに。ところが、その持ち主のここ数年の記憶が欠落して・・・みたいな感じ。
連作短編スタイルだった前作とは違って、“記憶”をテーマにした長編になっている本作。記憶をテーマにした小説は多々あれど、ここまで前向きで優しい作風のものは記憶にありませんw*1 相当に地味だけどしみじみといい作品だと思います。あと香絵ちゃんがいい娘すぎて困る(*´Д`*)。
幻想小説とみてもいい作品だと思います。異形コレクションに書いた短編を集めた「冬になる前の雨」を読みたくなったけど、絶版なのか・・・。うーん・・・。

*1:ぱっと思いつくのが小林泰三西澤保彦だからかもしれないけど