久住四季「ミステリクロノ」

ミステリクロノ (電撃文庫)

ミステリクロノ (電撃文庫)

雨の降る神社の境内で、遥海慧は不思議な少女とであった。いろいろあって、慧は天使を自称する彼女の探し物、時間の流れを操る道具、クロノグラフを一緒に探すことに。みたいな。
うーん。ライトノベル読みがミステリぽい読み方するならありだけど、ミステリ読みがミステリとして読むには厳しいかな・・・。
中盤まではクロノグラフの使い方とルールを説明するだけなので微妙に退屈なのですが、そのクロノグラフの設定がミステリ部分に活きてないのは割りと問題だと思います。クロノグラフの物語の中での機能がただの便利な道具でしかないのはいかがなものかと。SFミステリはSF設定が理論に活きてこそだと思います。
この作品のミステリ部分をもっとカッチリさせて、毒を加えて読後感を悪くしたら西澤保彦のチョーモンインになりそうですね。
それはそれとして、論理に穴がありそうなのがちょっと気になりました。ちょっとネタバレ。(出来心という名の“怪物”を動機に持ってくるなら、「Aがクロノグラフを求めるなら〜したはず、実際には違うからAは犯人じゃない」みたいな消去法は使えないはず。出来心なんていつ芽生えるかわからないから。)ここ以外にも穴がありそうだけど、めんどくさいから検証はしません。